幽霊犬の備忘録

某市の職員。政治学を齧りジェンダーや経済思想に関心。

育休について(その2) 思考実験ー生活保護受給者が育休を取れるのか?

過去のFacebookの非公開グループでの投稿。 この非公開グループは、「女性活躍」をテーマにした役所の同僚中心のもの。 非公開グループなのでコピペしていいか迷ったが、まぁ、匿名だから良いでしょう。 という訳で、以下コピペ(一部編集あり)。 【質問】 …

「そこでしか出来ない仕事」があるのに「イヤならやめればいい」は無いだろ、という話

●今まで考えてきたこと日本は、メンバーシップ型雇用システムからジョブ型雇用システムへ転換していく過渡期にあるのかもしれない。経団連が「終身雇用もうムリ」と言っちゃったというニュースも大きく報じられた。 そういう文脈もあって、ブラック企業や劣…

『負債論』第3章 原初的負債 要約

●貨幣の国家理論と貨幣の信用理論・ミッチェル・イネス等が提唱し、周縁的地位に追いやられてしまった貨幣信用理論というものがある。それは貨幣を信用とみなす理論で、貨幣は商品ではなく計算手段であり、抽象的な尺度単位に過ぎない、とした。尺度とは、す…

「古典は役に立たなくて何が悪い」という開き直りはイヤだという話

#古典は本当に必要なのか 問題。一時期、Twitterのこのハッシュタグがすごく盛り上がってた時期があって、色々と見ていた。 もともと、古典の必要性については懐疑的だったんだが、特に下記のようなツィートについては自分は素直に首肯できない。 例えば「春…

『負債論』第2章 物々交換の神話 要約

貨幣と負債は同時に登場しており,負債の歴史は必然的に貨幣の歴史である。しかし,主流派経済学のどの教科書にも載っている「貨幣」についての常識は,①原始的な物々交換→②「二重の一致」の問題→③貨幣の発明→④信用経済への発展,であり,負債は二次的なもの…

もし、2〜4歳くらいの男の子が「スカートを履きたい」と言ってきたらどうする?

タイトルのとおり、もし、2〜4歳くらいの男の子が「スカートを履きたい」と言ってきたらどうする?という思考実験的な疑問が湧いた。思考実験というか、いつか実現しても全然おかしくないことだが。 女児を育てる中では、そういう悩みはあまり生じなかった…

育休について(その1) 「なぜ育休を取るのか」と聞かれて戸惑ったという話

自分はかつて(2015年)に育休を取った。 2019年現在、共働き(フルタイム)の妻と一緒に保育園児の子供を育てている。自分が育休を取ったとき、まだまだ育休を取る父親が多数ではない職場で「育休を取って何をするのか?」という意見もあった。そういうこと…

『負債論』第1章モラルの混乱の経験をめぐって 要約

積読だった『負債論』をこれから読んでいく。 負債論 貨幣と暴力の5000年 作者: デヴィッド・グレーバー,酒井隆史,高祖岩三郎,佐々木夏子 出版社/メーカー: 以文社 発売日: 2016/11/22 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (5件) を見る 本文だけで600ペ…

映画『Suffragette』(邦題『未来を花束にして』)の感想

AmazonPrimeビデオで配信されていたので、観た。 邦題がクソだという前評判を知っていたが、たしかに、この邦題はミスリード過ぎるので、こういうタイトルにした。 未来を花束にして [DVD] 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店 発売日: 2017/07/28 メディ…

行政法の勉強 行政行為の取消についての疑問

先日,法務の勉強会があった。そのうち,行政行為の取り消しという論点があった。判例は,本来の土地所有者Aと,瑕疵ある行政手続きによって土地を取得するに至ってしまったBとの利害が鋭く衝突する事例だった。(最判昭和43年11月7日) 判旨の要点の1つ…

ケースワークでの「訪問」についての持論

2012年度から2015年度までの3年間、ケースワーカー(生活保護給付業務)を経験した。 あまたの論点や思うところはあるが、今回は、CWの中心業務である「訪問」を効率的、効果的に行うやり方について、持論を書いておきたい。 3年目に、自分自身が課した…

公共サービスのアウトシーシングについて 雑感

先日、水道民営化について「読書会」で議論する機会があった。 本自体は未読だが、下記2冊の本について報告があり、要約を聞くことができた。 水道の民営化・広域化を考える [改訂版] 作者: 尾林芳匡,渡辺卓也 出版社/メーカー: 自治体研究社 発売日: 2019/…

エビデンスとかAIとかについての雑感

Twitterで興味深いというか、共感する呟きを発見したので、それに関連する私見を簡単に書いておこう。 もっとも、今から書くことの大部分は、既に別の匿名ブログやFacebookにも書いたことがあるから、ただの再整理。 さて、まず、その呟きを貼っておく。元は…

アニメ『一休さん』のハラスメント回を批判する

(2/22、ちょっと最後に追記有り) 0 前置き 先日、とある宅飲みで『一休さん』のアニメを観る機会があった。 どうやらYouTubeで期間限定ではあるが公式配信されていたらしい。 (2/15までだったようで、もう観られない) その第28回『つらい修業と鬼の和尚…

SOGIの話の続きとか

0 前回のブログへ寄せられたコメント 前回のブログに対して,知人(大学の後輩)がコメントをくれました。 ghost-dog.hatenablog.com ある問題を「社会モデル」によって乗り越えるという点で障害者運動とウーメンリブが結びついたように、LGBTをめぐる議論…

LGBTからSOGIへ/バリアフリーからノーマライゼーション・ユニバーサルデザインへ

※追記 この記事をベースに、新たに書き直した記事があります。 そっちの方が、書きたいことを余すことなく書けていると思うので、よければお読みください。 ghost-dog.hatenablog.com ※追記終わり 1 LGBTとSOGISOGIという言葉について、とりあえずこれを読…

虐待する親を完全には他人事とは思えない

鴻上尚史 on Twitter: "僕は作家なので想像力はそれなりにあると思っていたのだが、子供を持って初めて「虐待によって殺された子供のニュース」がつらすぎて、なるべくなら見たり聞いたりしたくないという気持ちになる。子供を持つまでこんな気持ちになるな…

アンサーブログ その3 生産性と社会適合者

1 前置き Mistir氏のブログを受けてのブログ(3回目)。 ちょっとネットストーカーみがあって、気持ち悪いなオレ。 ただ、今回のブログに限らず、氏の問題意識には凄く共感できるところがあって、氏のブログを読むと自分も書きたくなるんだよな。 本題に入…

記事感想 WIRED『経済学者・岩井克人、「23年後の貨幣論」を語る』

一時期,WiredのTwitterをフォローしていた時期があって,記事の積読が膨大になってしまっている。気が向いたときに積読を読んでるのだが,かなり面白い記事があった。 wired.jp これまで読んできた本を受けて,貨幣について関心を持つようになった。『貨幣…

落合・古市氏の対談に関する考察―「トリアージ」という例えの不適切さについて

1 前置き 落合陽一氏と古市憲寿氏の対談が、議論を読んでいるようだ。 bunshun.jp 各論者の批判記事はまだほとんど全く読めていない。 荻上 チキ氏の議論のTogetterまとめだけ、とりあえずごくごく簡単に流し読みした状況。 togetter.com そんな状態だが、…

社会貢献的事業「こども宅食」への活用はふるさと納税制度の免罪符となるのか

●こども宅食とふるさと納税 NPO代表で、病児保育や児童福祉等、様々な分野で積極的に活動している駒崎氏が、ふるさと納税を活用して「こども宅食」という取組を進めている。 kodomo-takushoku.jp この取組—いや、行政が絡んでいるから事業といった方が適切か…

五輪反対についてとか

昨日、『福岡はすごい』についての感想を書く中で、自分が何故「○○はスゴイ」というものにネガティブなイメージ持つのか、ということを自問自答して整理していた。その中の理由の1つが、これ。>「すごい」ことを強調することで、解決すべき欠点や課題が覆…

「差別のことを考えたくない」へのアンサー(?)ブログ

差別のことを考えたくない - MistiRoom Mistir氏のブログへの勝手なアンサー2回目。 私自身は、世間から見たら「イクメン」と呼ばれるタイプの生き方をしていますが、子供がいない(持たなかったのか、持てなかったのかは分からない)同僚女性を目の前にし…

読書会とオフサイトミーティング「A」

※匿名のブログなので、イニシャルトークにしています。読みにくいですが、ご容赦を。 「読書会」のイベントを、オフサイトミーティング「A」のイベントとコラボするかどうか、この1週間実はずっと悩んでいます。 というか、「読書会」と「A」の関係につい…

「平成」が終わろうとしているこの時代、今更ではあるが、自分は、そして、役所は「かんばん方式」に学ばねばならないのだろうか。

誰か、書籍など、知っている情報があれば提供してもらえませんでしょうか。 トヨタの「かんばん方式」といえば、業務改善の代表事例だ。 「かんばん方式」とは何ぞや、ということについては、ググったら結構出てくるので、それぞれ自身で調べてみてもらえれ…

「自然派」と「エビデンス」の狭間で

「自然派」というスタンス(思想?)があるようだ。「マクロビ」とか,まさしくそういうヤツ。うちの保育園が,結構そういうのに傾倒している。玄米が最高とか,梅醤番茶,発熱したときにキャベツを頭に巻くとか。こういうのは,いわば「おばあちゃんの知恵…

「「潜在的差別主義者」を「正しさ(あるいはポリコレ棒)」でぶん殴って一体どうなるの?」へのアンサー(?)ブログ

http://mistclast.hatenablog.com/entry/2018/04/14/210505似てる。本当に、Mistir氏は自分とよく似ている。Mistir氏のブログを読むと、どうしても自分も語りたくなってしまう。当初、Mistir氏のブログに、コメントしようと思ってたが、ボリュームがヤバくな…