幽霊犬の備忘録

某市の職員。政治学を齧りジェンダーや経済思想に関心。

育休について(その1) 「なぜ育休を取るのか」と聞かれて戸惑ったという話

自分はかつて(2015年)に育休を取った。

2019年現在、共働き(フルタイム)の妻と一緒に保育園児の子供を育てている。
自分が育休を取ったとき、まだまだ育休を取る父親が多数ではない職場で「育休を取って何をするのか?」という意見もあった。そういうこともあって、「男が育休を取る意味は何なのか?」ということをたびたび考察して文章を書いてきた。

 

これまではFacebookに書くことが多かったが、せっかくなので、ブログにもいくつか転記しておこうと思う。

 

以下に書くのは、その1つ目。
これからいくつか記事をアップしていこうと思う。

 

●以下、転記(元の投稿は2016/10/21)

「何で育休を取ると?」という質問をされて、質問の意味が分からなくて、戸惑った、という話。

上司との面談でも聞かれたし、先輩の男性職員からも聞かれた。
先輩職員の方は、そもそも、制度上、配偶者の両方が同時に育休を取れないと思ってて、嫁が育休を取らないから、代わりに、自分が育休を取るのだ、と思い込んでいた(過去にはそうだったという話を聞いたことがある)。で、そうじゃないことがわかっても、育休を取ろうとすることが理解できない、育休を取って何をするのか、という感じだった。決して、批判的ではないけど、終始「要るのかなぁ?よくわからんなぁ?」という感じだった。ちなみに、その人は子持ち。結構、良いパパらしい。

上司の方は、さすがにそういう感じではないけど、面談の時に「何がきっかけで」とか「何をしようと思って」とか、そういう質問をされた。

自分としては、「取るのが当然」くらいに思っていたから、あえて「なぜ」と聞かれるとうまく答えられてなかったなぁ、と振り返って思う。
あとから振り返ると、「なぜ育休を取るのかって、女性職員には聞かないのに、なぜ男性職員に聞くのか?」って上司に逆に聞いてみればよかったなぁ、とも思ったりした。
まぁ、取る男性職員が圧倒的に少なくて、取得が当然でない現状で、「なぜ取るのか」と疑問に思うのも無理はないという気もするが。

とにかく、まだまだ「育休を取るのが当たり前ではない」ということ。

先輩職員については、自分の育休をきっかけに、その人が考えるきっかけを与えられたので、育休を取った甲斐があったな、と思う。基本的にはいい人なので、今後、「よくわからん」とは思いながらも、「男性の育休」については意固地に否定し続けるのではなく、柔軟に考えてくれる人だと思う。
ただ、先輩職員の名誉の為ではないが、彼は、実際、ほんとに良いパパらしい(同僚に聞いたことがある)。何も、育休が、イクメン度合いを測る全てではない。(イクメンという言葉は嫌いだが、伝えやすいのでこう言う)

 

 ●もらったコメントと、それへの返答も全部ではないが書いていく
※名前等は伏せておく

 

①Fさん(50代経営者)からのコメント

このコメントは、誤解を招く可能性がありますが、あえて書きます。
私たちの世代が入社した頃は、産休というのがあったくらいで育児休暇という言葉は無かったので、「なぜ?」という言葉が出たのだと思います。それは決して育休に対して否定的なものではなく、異文化(この言葉も適切ではないかもしれません。)に初めて触れるような。。。
子育てに対する新しい心構えを聞きたい(ある意味私たち世代は後進的な環境におかれてきたと言えるでしょうし。)という感じだったのではないかな。私も、身近にいませんし勇気ある取得だったのではないかと思います。(●●君本人にとっては当たり前のことだったようですが。。。(^^))今後、そんな勇気が必要ではない当たり前の社会になる必要があるのでしょうが、実際に取得者からの話を聞くというのは当たり前な社会にする上でとても貴重なことだと思います。
全てにおいて、物事を最初に始めるということは少数者ですが、いずれそれが当たり前の時代がいつか来るのではないかと思います。そういった点で色々と語ってもらえることは大切なことだと思います。

それへの自分のコメント

どういう意図や文脈で「なぜ?」という質問がされたのかについては、きっと、まさしくFさんのおっしゃる通りだと思います。上手く自分で表現できなかったところを、代弁して頂いてありがたいです笑
僕としても、「なぜ」と聞かれることがないような時代が来てほしいなぁ、とは思いつつ、聞く人が間違っているとか、批判したい、とか、そういうことを言いたい訳ではありません。当時は、そういう気持ちが無いではなかったですが、今振り返ると、そりゃあ、気になるよなぁ、と思います。きっと、実際に取得する男性を目の当たりにしたのが、僕が初めてのケースだったのだろうし・・・

 

②友人Sのコメント

なぜってそれは、葬式に行くために忌引きするのと同じレベルで、育児をするために育休とるんだぜってド正論ぶち込みたいとこやけど、自分がその立場なら言えないんだなぁ、、、

必要かどうかと言われたら、両親の片方しか、最低限の期間の育休しか取らずに育児してる人もいるんやろうから、「必要」ではないんやろうから、こっちは反論しづらいし、たぶん反論の方向に進むと負け戦になる

それへの妻のコメント

普通に「自分も毎日子育てしたいから」じゃ、ダメなんやろうね。
私はむしろ、なんで「育休いつまで?」って当然のように聞くのって思ってた。

更にSのコメント

「いつまで」っていうこと自体は、上司が労務管理する以上は必要な情報だし、聞いちゃうだろうなーと思う
言い方とか、文脈によるけど。

あと、俺が先輩職員と話してる時、「ふたり同時に育休を取得する必要があるのか」って話になった。
いや、わかる。言いたいことはわかるんやけれども、この論理だとパートナーが「専業主婦(夫)」であれば育休はとるべきでないってことになる。

更に妻のコメント

んー、というか、女性も育休は必須じゃないわけで……
でも取ると思ってるから、いつまで?って聞くんだろうな、と。

あと、二人同時でも、結構大変だったから、必要はあるけど必須ではないってかんじなのかな

更に自分のコメント

ぶっちゃけ、生保世帯だったら「保育園預けて働きなさい」って指導するだろうな、って思ったことはある。

 

ファザーリングジャパンの安藤さんとかは、「育児は楽しいし、期間限定なんだからやらないと勿体無い!仕事にも活きてくる」って言ってて、概ね同意してる。
あと、育休取って育児に専念することで、ぶっちゃけ、授乳以外は母親並に出来るようになった。育休取ってなかったら、そこまではいってないかも、とは思う。

続くSのコメント

あぁ、誤読してた
育休をとるという話をしている中で「いつまで」と聞かれたことに対する疑問ではなく、産休をとるにあたって育休の「い」の字も出してねぇのに、「育休いつまで」って聞かれたことに対する疑問ってことか。それならまぁわかる。

こないだ●●もどっかで書いてたけど、「仕事に活かす」ために育児するみたいになるのは気持ち悪い
気持ち悪いけど、過渡期にはそんな説明をして周りを納得させるという戦略が必要なんやろうなー

 

③Sのコメント

アタマの固いオッサンをド正論で各個撃破したところで禍根を残すだけで社会は変わらないし、やっぱ大事なのはオッサンひとりあたりの労働(狭義)量を減らすことなんだろうなぁ。オッサンてのは比喩ね。企業戦士あるいは社畜の比喩 。

 それへの自分のコメント

それもあるし、考えられる戦略的にはアタマの固いオッサンが少数派になるように、ニュートラルな位置にいる人とか、やりたいけど迷ってるような人たちを取り込んでいくことが大事ではないかと思う。
その為には、Fさんが言うように、取っかかりを作る場面では勇気が必要。