負債論
・要約が4500字超え。訳者解説で「後半のおもしろさは、ますますその細部にある」と書いてあるだけあって、どの部分もとても興味深く、なかなか削り切らなかった。 ・終盤の「シンボロン」を巡る部分以降は、何度読んでも文意というか流れが読み取れていない…
この時代には硬貨鋳造の開始、そして金属塊への全般的転換がみられる。(p.324) ●軍事=鋳貨=奴隷制複合体・度重なる債務危機を軍事的拡大を通じて解決しようとする試みが、「軍事=鋳貨=奴隷制複合体」とも呼ぶべき制度としてあらわれた。鋳貨は、債務危機…
現代文明の基盤に奴隷制の論理がある一方、公式の動産奴隷の廃棄だけでもめざましい達成とみなさなければならない。そして、どのようにそれが実現されたのか、考えてみる価値がある。そして、奴隷制の消滅は、ヨーロッパだけに限定されない。この事態は、歴…
しばらく積読だったが、また再開する。 この章、やや難解というか、多様な事例やテーマが交錯するように議論されてあり、論旨をきちんと追いかけきれておらず、要約もグダグダだが、一旦、適当に切り上げて、先に読み進めることにする。 ・人間性の剥奪が、…
第6章はなかなか読みにくかった。何より、ティブ族のエピソードの理解が難しい。要約も非常に長ったらしくなってしまったが、あえてこのままで(2300字超え)。 雑にまとめると、要するに、ここでの主張は、「負債の根本には文字通りの「暴力」の存在がある…
・交換、負債のモラル的論理は人類学が明らかにしてきた根本的なモラルの原理の1つに過ぎない。(『贈与論』ですら市場経済の論理が侵食しており、現代の社会理論は役に立たない。特に、経済学の占める位置は非常に大きい。)・「互酬性」をキーワードとし…
・貨幣は商品でもあり,借用証書でもある。コインの表には硬貨の鋳造者である政治的権威の象徴があり,裏には交換における支払価格がある。・物々交換の神話と,原初的負債論の神話は,隔たっているように思えるが,実際はコインの裏表であり,一方は他方を…
●貨幣の国家理論と貨幣の信用理論・ミッチェル・イネス等が提唱し、周縁的地位に追いやられてしまった貨幣信用理論というものがある。それは貨幣を信用とみなす理論で、貨幣は商品ではなく計算手段であり、抽象的な尺度単位に過ぎない、とした。尺度とは、す…
貨幣と負債は同時に登場しており,負債の歴史は必然的に貨幣の歴史である。しかし,主流派経済学のどの教科書にも載っている「貨幣」についての常識は,①原始的な物々交換→②「二重の一致」の問題→③貨幣の発明→④信用経済への発展,であり,負債は二次的なもの…
積読だった『負債論』をこれから読んでいく。 負債論 貨幣と暴力の5000年 作者: デヴィッド・グレーバー,酒井隆史,高祖岩三郎,佐々木夏子 出版社/メーカー: 以文社 発売日: 2016/11/22 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (5件) を見る 本文だけで600ペ…