幽霊犬の備忘録

某市の職員。政治学を齧りジェンダーや経済思想に関心。

『負債論』 第8章 「信用」対「地金」−そして歴史のサイクル 要約

現代文明の基盤に奴隷制の論理がある一方、公式の動産奴隷の廃棄だけでもめざましい達成とみなさなければならない。そして、どのようにそれが実現されたのか、考えてみる価値がある。
そして、奴隷制の消滅は、ヨーロッパだけに限定されない。この事態は、歴史上の契機が、明確で周期的でさえあるパターンに従って、しかも、広汎な地理的空間を横断して生起しているということを示唆している。
そのサイクルは、貨幣、負債、信用の歴史の再検討で可視化される。
ユーラシア大陸の過去5000年の歴史をみると、信用貨幣が支配的な時代と金銀が支配的になる時代とが交互に入れ替わる、という事態が観察される。その最も重要な要因を1つだけ上げるならば、それは戦争である。信用協定と金属貨幣の違いは、後者は盗むことができ、取引を単純化できるということだ。
この章以降、仮想通貨と金属貨幣の交代に沿って、ユーラシア大陸の歴史を区分していく。

 

※この章では、続いて、メソポタミア(前3500〜前800年)、エジプト(前2650〜前716年)、中国(前2220〜前771年)について検討されるが、要約では割愛。