幽霊犬の備忘録

某市の職員。政治学を齧りジェンダーや経済思想に関心。

「意識高い系」の友人が「自然療法」にハマってしまった

◆大学時代の友人で、「朝活さん」ともひそかに揶揄されていたほど「意識高い系」の女性がいる。

 

Facebook等を見ていると、大学時代から朝活に参加したり、就職してからはよくわからない異業種交流会※に参加したり、事業構想大学院大学※に行ってみたり、読んでる本がペラッペラのビジネス本だったりと、ここまで型通りの「意識高い系」の人も珍しいんではないか、というタイプの人。

 

※消費者センター勤務時代に、異業種交流会がマルチや詐欺の温床になっていたことを知り、あまり良い印象を持っていない。すべての異業種交流会がダメとは言わないが。


事業構想大学院大学のことを詳しく知っているわけではないが、ふるさと納税制度の根本的な欠陥を無視して、制度を活用した地方創生事業等を謳う寄稿記事等をたびたび書いていることから、ここのことをあまり信頼していない。

 

そんな彼女が、このたび手を出していたのが、自然療法、アロマテラピー
国際アロマテラピストの認定(ディプロマ)を受けたんだと。

 

 

あー・・・うん・・・なるほどね、そう来たか。

 

 

彼女がセミナーを受けていた団体のページを見たが、東洋医学、解剖生理学などのそれっぽい専門用語が散りばめられている一方で、「医療占星術(チラシには「12星座を知ることが健康と病気の理解に繋がる?!」との煽り)やら、「発達障害自閉症ADHDアロマセラピー」やら「マクロビオティック」等への言及もあり、胡散臭さが拭えない。

 

自然療法界隈では「がんが治る」という類の詐欺的商法のものもあり(以前、消費者センター勤務時代に被害事例を見聞きした)、ここがそういうところかまではネットでは分からないが、ただ、少なくとも「似非科学」の可能性を疑ってかかるべき案件であり、そういう意味では「黒に近いグレー」であるように見える。

 

 

◆彼女のような、朝活、異業種交流会、事業構想大学院大学、ビジネス本などに傾倒している「意識高い系」の人たちは、どういう行動原理で動いているのだろうか、と考えてみる。

 

推測だが、まず、彼女たちは、ストーリーとして魅力的であることを期待し、目の前でキラキラしている人たちの「経験値」に期待している。そして、出会いによる「化学反応」が起きて「目から鱗が落ちる」快感を期待している。

これと対照的なのが「専門知」の領域だろう、と思う。
体系的な、巨人の肩に乗るような「専門知」には、必ずしも魅力的な分かりやすいストーリーは付いてこない(全く無いとも言わないが)。
また、「専門知」の追求においては、「化学反応」や「目から鱗が落ちる」快感ばかりが都合よく期待出来るものではなく、地道な積み重ねが必要となる。

 

実は、彼女はもともと、薬学部に在籍して薬剤師を目指していた。それが、国家試験を結局受けずに、一般企業に営業職として文系就職し、今に至っている。
別に、彼女が薬剤師にならなかった選択を誤りだと言うつもりはないが(職業に貴賤は無い)、彼女はきっと、専門知の価値を体得できないまま、ここまで来てしまったんだろうな、とは思う。

彼女は、巨人の肩に乗り損ねたのだろう。だから、根無し草のように、漂い続けてしまっている。
そんな風に考えていると、彼女が自然療法に「引っ掛かって」しまったことも、何となく納得してしまった。