幽霊犬の備忘録

某市の職員。政治学を齧りジェンダーや経済思想に関心。

ケースワークでの「訪問」についての持論

2012年度から2015年度までの3年間、ケースワーカー生活保護給付業務)を経験した。

 

あまたの論点や思うところはあるが、今回は、CWの中心業務である「訪問」を効率的、効果的に行うやり方について、持論を書いておきたい。

 

3年目に、自分自身が課したルールというか、考え方がある。
それは

「訪問は基本的に短くして3分を目標とする」ということだ。

 

もともと、自分は、仕事を効率的に進められておらず、残業も多かった。
記録を書くのも遅かったし、訪問率も高くはなかった。
それを打開するための方策が、上記の「訪問は3分」だった。

一言で言うと「訪問は3分」なんだが、ちょっと言葉として乱暴なので、細かく意図を書いておく。

 

 

そもそも、この目標は、1・2年目のときの失敗、反省が元になっているので、そこから書くことにしよう。

1・2年目は訪問件数が増やせずに、残業も多く苦しんでいた。
その原因の一つとして、知識不足や、冗長な記録を書いていたことなどがあるが、1件あたりの訪問時間が長かったことも大きな要因だった。
特に課題もないCケースの訪問でも、30分くらいかかることも少なくなかった。

なぜ長くなっていたかといえば、それは「訪問が短かったら失礼」とか「話の切り方がわからない」と思っていたからだ。初めて訪問する世帯や、なかなか会えていない世帯は、特に長くなる傾向にあった。いつ終わるとも分からない世間話に延々付き合うことも多かった。

しかし、これは悪循環を生んだ。

訪問が長い→件数が稼げない→なかなか会えてない世帯が増える→その世帯の訪問時間が長くなる。

最も悪かったのが、スキマ時間の訪問ができなかったことだ。
例えば、4時には帰りのバスに乗りたいが、あと10分ある、というとき。そういうスキマ時間も、「10分では訪問は終わらないな」と思って、訪問できてなかった。

こういうやり方を、3年目からやめた。

まず、訪問を短くしようと決めた。具体的には3分を目標とした。
意図せず長い訪問とならないよう「長い時間は話せないですが、近くに来たので顔を見に来ました!」とか、「4時から別の人のアポがあるので(4時のバスに乗らないといけないので)、2、3分しか話せないんですけど、まだお顔を見れてなかったので、とりあえずお会いしたいと思ってきました!」と先に言うようにした。

 

短い訪問だと、相手に失礼では?
→また、会いに行けばいい。そういう風に考えを切り替えた。実際、「短い時間でも、会おうとしてくれる」という印象を向こうに持ってもらえれば、失礼にはならない。長い訪問が数少ないより、短い訪問が数多いほうが、信頼関係はつくれる。そして、そうやって顔を見せる習慣をつくっていれば、その次行くときにも、「あんまり会ってないから、すぐに帰るのは失礼かな」と思わなくて済む。

 

2、3分で、確認事項すべて聞けないのでは?
→それでもいい。なんなら、「さっき聞き損ねたんですけど」とあとから電話で聞いたっていい。「訪問で聞くべきことを整理できてないなぁ」と思って訪問しない、というのが一番ダメ。不完全でもいいから、とにかく訪問する。例えば,親族との交流が活発で問題もない、ってことが分かっていれば、毎回その話はしなくてもいいし。

 

一回一回の訪問のハードルを上げすぎないことで、記録を書くのも楽になる。こういう訪問であれば、訪問したその日に速攻で記録が書ける。

 

ただし、もちろん、なんでもかんでも3分にしていい訳ではない。
むしろ、こだわるところにはこだわる。

その時間を捻出するために、メリハリをつけることが重要。
例えば、福祉業種の人たちでのカンファレンスも積極的に顔を出す。
呼ばれたら行く、にとどまらず、資料をつくって臨んだこともある。
(全てではないが)手続きのために「〇課に行ってきて下さい」だけではなく、そこまで同行して担当者に引き継ぐ、という一手間もときにはかける。